ボトックス注射は、表情ジワの改善だけでなく小顔効果や多汗症治療、頭痛改善など幅広い適応を持つ医療用ボツリヌストキシン製剤を用いた施術です。施術時間は短く、ダウンタイムも少ないため手軽に受けられる一方、薬剤の種類・単位・注入ポイントによって効果や持続期間が大きく変わります。本記事では「初めて」の方に向け、作用メカニズムから期待できる効果、施術の流れ、痛みや副作用、費用相場、よくある質問、注意点までを徹底解説します。
1. ボトックス注射とは?
ボトックス注射は、ボツリヌス毒素を人体に無害化した医療用製剤(ボツリヌストキシン製剤)を皮下または筋内に注入し、表情筋の過剰な動きを抑制することでシワを目立たなくする治療法です。1990年代後半から美容医療分野で広く普及し、額・眉間・目尻のシワ治療のほか、エラ張り改善、脇汗・手汗の抑制、ふくらはぎ痩身、頭痛・顎関節症の緩和など、多岐にわたる適応があります。
主に使用される製剤には以下の種類があり、国内承認の「ボトックスビスタ(アラガン社)」のほか、輸入品の「ディスポート」「ニューロノックス」などが代表的です。製剤ごとに有効単位(U)の換算や持続期間、安全性プロファイルが異なるため、クリニック選びの際は医師の経験と取扱製剤を確認しましょう。
2. 主な効果
表情ジワの改善
シワの原因となる表情筋の収縮をブロックし、肌の表面に出るシワを浅くします。
- 額ジワ:額の縦シワを和らげる
- 眉間ジワ:怒りジワ、溝状シワを緩和
- 目尻ジワ:笑いジワ(カラスの足跡)を軽減
小顔・エラ張り改善
咬筋(咀嚼に使う筋肉)の動きを抑制することで、筋肉の肥厚を抑えて小顔効果を得ます。1回あたり30~50U程度の注入で、3~6ヶ月かけて筋量が減少し、フェイスラインがシャープに変化します。
多汗症治療
脇汗や手足の汗を抑える治療として、アポクリン腺へのボトックス注射が有効です。脇の場合は両脇合わせて50~100U、手に投与する場合は100~200Uを目安に、約6~9ヶ月の制汗効果が期待できます。
筋肉量ダウンによる痩身効果
ふくらはぎや肩、背中などの過剰な筋肉を抑制し、ボリュームダウンを図ります。部位ごとに50~150U程度を注入し、2~3ヶ月で筋量が落ちることでスリムなシルエットが得られます。
その他の応用(頭痛・顎関節症・歯ぎしり)
慢性緊張型頭痛や片頭痛、顎関節症、睡眠時の歯ぎしり・食いしばりの緩和にも用いられます。頭痛や顎関節症では側頭筋や咬筋への注入が中心で、1回の投与で3~4ヶ月効果が持続します。
3. 施術の流れ
3-1. 事前カウンセリング(約15~30分)
- 医師による顔面・筋肉の動きチェック
- 既往歴・アレルギー・薬剤使用歴の確認
- 希望部位・仕上がりイメージのヒアリング
- リスク説明・副作用の説明
マーキング・デザイン(約5~10分)
注入ポイントを細かくマーキング。部位ごとに必要な単位数を決定し、正確な位置に印を付けます。
注射手技と製剤
極細針(30G前後)を用いて注射。製剤は希釈して使用し、注入速度をゆっくりにすることで痛みや内出血リスクを軽減します。
冷却・アフターケア(約5分)
注射後は冷却パックでクーリング。直後から軽い赤みやむくみが出る場合がありますが、当日中に収まることがほとんどです。
4. 痛み・ダウンタイム
注射時の痛み
ほとんどが「チクッ」とした軽い痛み。麻酔クリームや冷却ガスを併用するクリニックもあります。
ダウンタイムと過ごし方
- 当日~翌日:赤み・軽度の腫れ、内出血が出る場合あり
- 1~2日目:メイクや洗顔は可能だが、強いマッサージは避ける
- 3日以降:通常の生活に問題なし
内出血・筋力低下・まぶた下垂などの副作用
内出血は1~2週間で自然消失。稀に注入製剤の拡散で筋力低下やまぶた下垂が起こることがあり、2~3ヶ月で回復します。
5. 費用相場
製剤や部位、投与単位数によって幅があります。以下は一般的な相場です。
部位 | 投与単位数(U) | 価格帯(税込) |
---|---|---|
額 | 20~40U | 30,000~60,000円 |
眉間 | 15~25U | 20,000~45,000円 |
目尻 | 10~20U | 20,000~40,000円 |
エラ(咬筋) | 30~60U | 40,000~80,000円 |
脇汗 | 50~100U | 50,000~100,000円 |
ふくらはぎ | 50~150U | 60,000~150,000円 |
費用を抑えるコツ
- 初回限定トライアルプランの利用
- 定期コース割引(月2回以上で10~20%OFF)
- キャンペーン期間やSNS特典を活用
6. よくある質問(Q&A)
Q1. 効果はいつから出ますか?
A. 通常、注射後3~7日で筋肉の動きが弱まり、シワの改善を実感。2週間ほどでピークを迎えます。
Q2. 効果はどれくらい持続しますか?
A. 部位や製剤によりますが、3~6ヶ月が一般的。継続注入すると持続期間が延びる傾向があります。
Q3. 何歳から受けられますか?
A. 成人(18歳以上)が対象。若年層の予防目的では20代後半から受ける方も増えています。
Q4. 妊娠中・授乳中は受けられますか?
A. 妊娠中は安全性が確立していないため避けます。授乳中は医師と相談のうえ、リスクを説明のもと判断します。
Q5. 自己注射とクリニック注射の違いは?
A. 自宅用セルフキットは希釈量や注入技術が難しく、安全性・効果ともに専門医の施術に軍配が上がります。医師免許があるクリニックでの受診を推奨します。
7. 注意点・リスク
- 過剰注入:不自然な表情や筋力低下の原因に
- 感染症:清潔な針・器具を使用するクリニックを選ぶ
- 薬剤アレルギー:過去にアレルギー歴がある場合は必ず申告
- 他施術との併用:レーザー・ヒアルロン酸注入等とのタイミングに注意
万が一トラブルが起きた際に迅速対応できるよう、アフターケア体制が整ったクリニックを選びましょう。
8. まとめ
ボトックス注射は、シワ改善だけでなく多彩な適応を持つ万能施術です。正しい知識とドクターとの十分なカウンセリングを経て、適切な製剤・単位・注入ポイントを選ぶことで、安全かつ満足度の高い結果が得られます。初回はトライアルプランで身体の反応を確かめ、3~6ヶ月ごとの継続投与で理想の状態をキープしましょう。